愛犬に「お手」を教えることは、芸以上の意味を持つ大切なステップです。お手は犬と飼い主の間に特別な絆を育み、日々のコミュニケーションをよりスムーズにします。この記事では、お手を教える理由や具体的な指導方法、起こりがちな問題と解決策まで、幅広く解説します。
お手をきっかけに愛犬との絆をもっと深めれば、毎日の生活をより楽しくすることが可能です。記事を読むと、犬にお手を教えられるようになります。犬を本気で飼いたい方や愛犬との絆を深めたいと考えている方は、ぜひ読み進めてください。
犬に「お手」を教える理由

お手を教える理由は以下のとおりです。お手は犬のしつけの基本であり、避けて通れない大切な動作です。
- コミュニケーション能力と信頼関係の向上
- お手を通じて学びが得られる
- 他のトレーニングへの応用と発展
コミュニケーション能力と信頼関係の向上
お手を通じて、犬と飼い主の間のコミュニケーションが大きく深まります。お手という簡単な動作を学ぶと、自然な形でスキンシップを図ることが可能です。
お手をするたびに褒めてもらえるので、犬はどんどん飼い主を信頼するようになります。一度築いた信頼関係は、しつけや日々の生活で役立ちます。
「お手」を通じて学びが得られる

お手を通じて学びが得られることは、犬にとっても楽しい体験です。お手ができるようになると、次は「おかわり」や「ふせ」なども早く覚えられるようになります。
お手を通じて、犬は飼い主の言うことを聞く大切さも学びます。外や家の中での生活をスムーズにするのに有効です。お手をしっかり覚えた犬は「待て」や「おいで」といった命令もすぐに理解可能です。
他のトレーニングへの応用と発展
お手ができるようになったら、次はもっと面白い芸に挑戦できます。お手から「ハイタッチ」や「バイバイ」といった可愛い動作を教えることが可能です。愛犬と一緒に新しい遊びを発明するように、飼い主も楽しみながらトレーニングできます。
難しい芸は犬の退屈しのぎにもなります。犬も人間と同じで、新しいことを覚えるのが大好きです。お手を基本として、犬に合わせて色々な芸を教えていけば、毎日の生活がもっと楽しくなります。
犬に「お手」を教える手順

お手を教える基本的な手順は以下のとおりです。
- 「お座り」をさせる
- 「お手」の指示を覚えさせる
「お座り」をさせる
お座りはお手の基本となる姿勢です。まず犬にお座りの姿勢をとらせます。犬が落ち着いた状態になってから始めましょう。
お座りがまだできない場合は以下の手順に従って教えてください。
- 犬のおやつを手に握り、アイコンタクトを取る
- おやつを持つ手を、犬の頭上よりも少し上に持っていく
- おしりがしっかりと地面についている状態でおやつをあげる
手を犬の頭上に持っていく段階で、多くの犬は自然とおしりを下ろします。上記ができるようになったら、今度はおしりが地面についた瞬間に「おすわり」と声を掛けましょう。お座りがしっかりできるようになるまで、繰り返し練習しましょう。
「お手」の指示を覚えさせる

お座りの姿勢ができるようになったら、お手の動作を教えます。
手順は以下のとおりです。
- 愛犬に、お座りをさせる
- おやつを持った手を犬の鼻先に近づける
- 「お手」と言いながら、犬の片方の前足を軽く持ち上げる
- 犬の足が自分の手に触れたら、すぐにおやつを与えて褒める
初めのうちは、犬の足を持ち上げる動作を手伝ってあげましょう。徐々に犬が自分から足を上げるようになるまで練習を重ねます。愛犬がお手を成功させたら、即座に褒めることが重要です。
褒め方のポイントは次のとおりです。
- タイミング:「お手」ができた瞬間に褒める
- 声のトーン:明るく、高めの声で褒める
- 言葉:「よくできました」「すごい」など、短くわかりやすい言葉を使う
- おやつ:褒める言葉と同時におやつを与える
- スキンシップ:頭や背中をなでるなど、体に触れて褒める
褒めることで、犬はお手をすることが良いことだと理解し、次回も同じ行動をとろうとします。
「お手」を教える際のポイント

お手を効果的に教えるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 訓練を繰り返し行う
- トレーニング中は正しく声をかける
- 状況に合わせてスキンシップをとる
- 報酬としてのおやつを効果的に使う
- 犬の個性に合わせてアプローチする
- 犬の教育に一貫性を保つ
- 他の家族メンバーとも協力する
ポイントを意識することでトレーニングの効果を最大化し、愛犬との絆を深められます。
訓練を繰り返し行う
「お手」の動作を確実に覚えさせるためには、繰り返しの練習が大切です。
訓練時に意識する点は以下のとおりです。
- トレーニングは5〜10分程度にとどめる
- 週に3~5回を1日に2〜3回程度行う
- 同じ場所だけでなく、さまざまな場所で練習する
- 慣れてきたら、周りに少し刺激を与えられるものを置いて練習する
- 朝食前と夕食前など、決まった時間に練習する
繰り返し練習することで、どんな状況でもお手をできるようになります。愛犬の様子を観察し、疲れが見られる場合は無理をせず休憩を取ることが大切です。
トレーニング中は正しく声をかける

トレーニング中の声かけはとても重要です。明るく元気な声で話しかけると、愛犬も楽しくなってきます。お手ができたら、すぐに「よしよし!」と褒めましょう。同じ言葉を使い続けるのがコツです。いつも「お手」と言っていたのに、急に「手」と言い出すと愛犬は混乱します。
状況に合わせてスキンシップをとる
スキンシップは声かけと同じくらい大切です。「お手」ができたら、すぐにたくさんなでてあげましょう。頭や背中など、愛犬が喜ぶところを優しくなでます。触れ合いの時間をたくさん作ることで、犬は「お手をすると、飼い主さんが喜んでくれる」と感じ取ります。
報酬としてのおやつを効果的に使う

おやつは犬にとって最高のごほうびです。しかし、与え方には少し注意が必要です。お手ができたら、すぐに小さなおやつをあげましょう。愛犬の大好きなおやつを選んであげるのがポイントです。
最初のうちは毎回あげて、だんだん回数を減らしていきます。繰り返すうちに、おやつがなくてもお手をするようになります。おやつを上手に使えば、トレーニングの効率化が可能です。
犬の個性に合わせてアプローチする
犬は全員に個性があるので、全ての犬に同じ方法が通用するわけではありません。元気いっぱいの子には、短い時間で何回もトレーニングするのがおすすめです。少し臆病な子には、ゆっくり教えてあげましょう。元気な子なら、リアクションを大きくして教えてあげます。愛犬の性格や好みに合わせて工夫する必要があります。
犬の教育に一貫性を保つ

トレーニングの成功には一貫性が不可欠です。使用する言葉やジェスチャー、トレーニングの順序(例:お座り→お手)を統一し、家族全員で同じ方法を使用しましょう。愛犬の混乱を防ぎ、学習効果を高めることが可能です。一貫したアプローチは、愛犬に安心感を与え、より迅速な習得につながります。
トレーニングは、常に同じやり方で行うことが大切です。いつもと同じ訓練を繰り返すと、犬も落ち着いて学べます。
他の家族メンバーとも協力する
家族みんなで協力すると、トレーニングの効果がより高まります。週に1回のペースで家族で集まって「今日はこんなことができるようになったよ」と話し合うのもおすすめです。愛犬の成長を共に喜び合いましょう。家族それぞれの経験を共有すると、新しいアイデアが生まれる可能性もあります。
「お手」の失敗例と対処法

「お手」を教えていると、思わぬハプニングに出くわすことがあります。しかし、よくある失敗と対処法を知っておけば怖くありません。
- 逆の手を出してしまう
- 空振りしてしまう
- 後ろに下がってしまう
- 手をすぐに降ろしてしまう
逆の手を出してしまう
愛犬が「お手」と言ったのに、違う方の手を出してくることがあります。違う手を出す犬は、お手という言葉はわかっているが、左右の区別がついていない状態です。
対処法としては、犬が自然に出す方の手を受け入れることです。使ってほしい方の手の近くにおやつを持っていきます。正しい方の手を出したら、いつもより大げさに褒めてあげましょう。徐々に望む方の手を使うよう導いていきます。
空振りしてしまう

手を上げたのに、飼い主の手を空振りする場合があります。飼い主に対する反抗はなく、何をすればいいかわかっているが、うまく手が届かない状態です。
対処法は、犬の前足の近くに手を差し出すことです。少しでも触れたら即座に褒めて、おやつをあげます。慣れてきたら徐々に手の位置を普通の高さに戻していきましょう。繰り返しの訓練によって確実に手が当たるようになります。
後ろに下がってしまう
「お手」と言ったら愛犬が後ろに下がってしまう場合、不安や緊張のサインであると考えられます。対処法は、小さな動きから始めることです。最初は前足に軽く触れるだけでおやつをあげます。少しずつ犬自身が手を上げるよう促していきましょう。壁際など、後ろに下がれない場所で練習するのも効果的です。
手をすぐに降ろしてしまう

犬が手を上げたと思ったら、すぐに降ろしてしまうことがあります。犬がどのくらい手を上げていればいいのかわかっていないのが原因です。段階を踏んで教えていきましょう。最初は手を上げた瞬間におやつをあげて、少しずつ手を上げる時間を延ばします。待てと組み合わせると、長く姿勢を保つことが可能です。
「お手」以外の指示で犬とのコミュニケーションを深める方法

「お手」をマスターしたら他の指示も教えることで、愛犬とのコミュニケーションを今以上に深められます。
「おかわり」や「ハイタッチ」を教える
おかわりは、お手の発展形で、もう一方の手を上げる動作です。ハイタッチは立ち上がって手を合わせる動作です。いずれも、お手ができるようになってから始めてください。
おかわりの場合、要領はお手と同じ要領で教えます。ハイタッチの場合、立った状態で手を高く上げ、犬が前足で触れるよう誘導しましょう。成功したら大いに褒めて、おやつを与えます。
他の楽しい芸を犬に教える

お手やおかわり、ハイタッチ以外にも以下のような芸があります。
- ふせ:地面にふせる動作
- 待て:待機する動作
- お回り:回転する動作
- 持ってきて:指定したものをくわえて持ってくる動作
上記のような芸を教える際も、お手を教えるときと同様に根気強く犬のペースに合わせて進めましょう。さまざまな芸を覚えることで、犬の知的好奇心が刺激され、よりいきいきとした生活を送れるようになります。
犬の「お手」に関するよくある質問

「お手」のトレーニングに関して、飼い主からよく寄せられる質問と回答を紹介します。犬にお手をしてもらえず困っている方は参考にしてください。
- 犬が「お手」を無視する場合の対応は?
- 「お手」は右手・左手どちらですか?
犬が「お手」を無視する場合の対応は?
無視する理由は反抗ではなく、犬が指示を理解していない、または指示と行動を結びつけられていない場合が多いです。対策としては、トレーニングをする場所を見直しましょう。騒がしかったり、気が散りやすかったりする場所だと、犬も集中できません。静かで落ち着ける場所を選んでください。
おやつの選び方も大切です。愛犬が大好きなおやつを使うと、やる気が大きく高まります。トレーニングのタイミングも考えましょう。適度に運動した後で、お腹が空いているタイミングがベストです。
疲れているときや興奮しているときは、しつけを避けましょう。お手の動作も、最初は小さな動きから始めるのがコツです。少しでも手を動かしたら褒めて、徐々に完全になるよう導いていきます。
犬によって覚えるスピードは違うので、根気強く続けることが大切です。焦らずに、愛犬のペースに合わせて続けましょう。
「お手」は右手・左手どちらですか?

一般的に右手がお手、左手がおかわりと言われています。しかし、右でも左でも問題ありません。大切なのは、いつも同じ手を使うことです。多くの犬は、自然と片方の手を使う傾向があります。
トレーニングを始めるときは、愛犬がどちらの手を自然に出すか観察してみましょう。自然に差し出す手を「お手」の主な手として使い、一貫してトレーニングします。一番大切なのは、愛犬が快適にトレーニングできる方法を選ぶことです。愛犬の好みや自然な動きを大切にしながら、楽しくトレーニングを進めていきましょう。
まとめ

お手を教えることは、ただの芸以上の意味があります。愛犬とのコミュニケーションを深め、信頼関係を築く大切な第一歩です。
ポイントは以下のとおりです。
- 段階的に教える:お座りの次に、お手を教える
- 適切なタイミングで褒める:正しい行動の直後に褒める
- 繰り返し練習する:短時間で頻繁に練習する
- 個性に合わせる:犬種や性格に応じてアプローチを変える
- 無理強いしない:犬の様子を見ながら進める
- 一貫性を保つ:やり方を急に変えない
- 他の芸につなげる:お手をマスターしたら他の芸も教える
記事の内容を参考に、お手の習得を目指しましょう。習得すると愛犬と飼い主の関係が深まります。トレーニングを通して、愛犬と楽しみながら一緒に成長できます。
» 犬の飼い方を準備から健康管理、しつけ方法まで解説!
» 飼いやすい小型犬の種類&特徴