ドッグフードの正しいふやかし方を知りたいと考える人は多くいます。しかし、ふやかし方を間違えると栄養価が損なわれ、かえって犬に負担をかけてしまう可能性もあるため、注意が必要です。この記事では、ドッグフードをふやかすメリットやデメリット、具体的なふやかし方、注意点について詳しく解説します。
記事を読めば、愛犬の健康や食欲に配慮したドッグフードの与え方がわかるので、ぜひ参考にしてください。ふやかしたドッグフードは子犬や老犬だけでなく、食欲が低下している犬や体調を崩している犬に有効です。愛犬の状態に合った、適切なふやかし方を学びましょう。
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ドッグフードをふやかすメリット

ドッグフードをふやかすメリットは以下のとおりです。
- 消化吸収が良くなる
- 水分補給になる
- 食欲不振を改善できる
消化吸収が良くなる
ドッグフードをそのまま与えた場合、胃の中で水分を含んでから消化が始まります。しかし、あらかじめふやかしておくと、胃での水分吸収の過程を省けるため、消化のスピードが早まります。胃に負担をかけず、胃腸が弱い犬にも安心です。胃もたれや嘔吐、下痢などのリスクも抑えられます。
水分補給になる

ドッグフードをふやかせば、水分補給がしやすくなります。犬の健康維持に必要な1日の水分量は、体重1kg当たり約50mlで、10kgの犬なら500mlの水分が必要です。以下のような犬には効果的な水分補給方法です。
- 水を飲むのが苦手な犬
- 暑い時期の水分補給が必要な犬
- 運動後の水分補給が必要な犬
- 尿路結石のリスクがある犬
- 腎臓病の犬
水分が不足すると、体調不良や病気のリスクが高まります。食欲の低下や体力の消耗、尿路結石の形成など、さまざまな健康上の問題が起こる可能性があります。夏場は熱中症予防のために十分な水分補給が欠かせません。ドッグフードをふやかすと、無理なく水分を摂取できます。
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食欲不振を改善できる
食欲が低下している犬にとって、硬いドッグフードは食べにくいものです。病気や体調不良で食欲がない場合は、ふやかすと食べやすくなり、少しずつでも栄養を摂取できます。ふやかしたドッグフードは香りが強くなるため、嗅覚を刺激して食欲を引き出す効果も期待できます。
歯の治療後や口内炎がある場合も、やわらかくふやかしたドッグフードなら痛みを感じにくくなり、栄養補給が可能です。高齢で歯が弱くなってきた犬や顎の力が弱い犬でも、ふやかすと食べやすくなります。食事の満足感も得られるため、ストレス軽減にもつながります。
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ドッグフードをふやかすデメリット

ドッグフードをふやかすデメリットは以下のとおりです。
- 手間と時間がかかる
- 犬の好みに合わない可能性がある
- 噛む力が弱くなる可能性がある
手間と時間がかかる
ドッグフードをふやかすには、準備から後片付けまでに一定の時間と手間が必要です。ぬるま湯でふやかす場合、適温の30〜40℃に調整する必要があります。温度計を用意したり、熱すぎる場合は冷ましたりと、余計に手間がかかります。ふやかす時間も5〜15分程度必要です。
朝は時間に余裕がない場合が多く、待ち時間が負担に感じる人もいます。電子レンジを使えば時間短縮できますが、温度管理や加熱むらに注意が必要です。使用した器具の洗浄も欠かせません。
犬の好みに合わない可能性がある

ふやかしたドッグフードを食べなくなってしまう原因は以下のとおりです。
- ふやかした食感が嫌いである
- 香りが強すぎる
- 好みの温度にならなくなる
- 水分量が多すぎる
食事の変化は犬にとってストレスになる場合もあります。ふやかしたドッグフードに切り替える際は、徐々に量を増やすなど、段階的な移行が必要です。無理に食べさせると、食事への嫌悪感を持ってしまいます。好みに合わない場合は、水分量や温度、ふやかす時間を調整して、犬が食べやすい状態を探しましょう。
噛む力が弱くなる可能性がある
犬の歯や顎の健康を保つには、適度な咀嚼が重要です。常にふやかしたドッグフードを与えると、噛む力が衰えてしまいます。噛む力の低下は、歯周病のリスクを高める原因にもなります。成長期の子犬では、顎の発達に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。噛む力の低下は、ストレスの原因となる場合があります。
犬にとって硬いものを噛むのは、ストレス発散の手段の一つです。歯や顎に問題がない場合は、おやつなどで噛む機会を設けましょう。ドッグフードを完全にふやかすのではなく、半分程度の硬さを残す方法もあります。
ドッグフードのふやかし方

ドッグフードのふやかし方は以下のとおりです。
- ぬるま湯でふやかす
- 電子レンジでふやかす
ぬるま湯でふやかす
ぬるま湯でふやかす方法は、最も安全で確実な方法です。30〜40℃程度のぬるま湯を用意し、ドッグフードが隠れる程度まで注ぎます。水の量は、ドッグフードの1.5〜2倍が目安です。ウェットフードと同じ水分量にしたい場合は、ドッグフードの2.5倍の水を加えましょう。ドッグフードが20gなら水は50mlです。
一般的なドッグフードは、5〜10分程度でふやけてきます。時間は、粒の大きさや硬さによって異なります。指でつまんで力を入れると簡単に潰れる程度の柔らかさになったら完成です。必要に応じて水を足して調整し、人肌程度まで冷ましてから与えましょう。
電子レンジでふやかす
電子レンジを使用すると、ふやかす時間を短縮できます。耐熱容器にドッグフードを入れ、水を加えてラップをかけます。水の量は、ドッグフードが隠れる程度です。電子レンジ(500W)で20秒程度加熱し、ムラがないようによく混ぜてください。加熱後は5分程度放置すると均一にふやけます。
加熱しすぎると栄養価が損なわれ、ヤケドする可能性もあります。電子レンジの機種によって加熱ムラが生じる場合もあるため、人肌程度の温度を確認してから与えましょう。
特定の犬のためのドッグフードのふやかし方

以下の犬の状態に合ったドッグフードのふやかし方を紹介します。
- 子犬用
- 老犬用
- 病気がある犬用
子犬用
子犬の消化器官は未発達で、乾燥したドッグフードをそのまま消化するのは困難です。生後3〜4か月までは、ドッグフードをしっかりとふやかして与える必要があります。歯が生えかわる時期も、やわらかくふやかすと食べやすくなります。食欲旺盛な子犬でも、消化不良を防ぐために適切な水分量でふやかしましょう。
ドッグフードの粒は子犬の口の大きさに合わせて、必要に応じて砕いてからふやかします。ふやかす時間は10〜15分程度で、指で軽く押すと崩れる程度まで柔らかくします。子犬の成長に合わせて、徐々にふやかす時間を短くしてください。
急激な変化は消化器系に負担をかけるため、1週間〜10日かけて段階的に調整しましょう。
老犬用

老犬は消化機能や噛む力が低下しているため、ドッグフードのふやかし方に特別な配慮が必要です。ふやかす際のポイントは以下のとおりです。
- 歯の状態に合わせた柔らかさにする
- 消化しやすい状態を保つ
- 水分量を適切に調整する
- 好みの温度を把握する
- 食べやすい大きさにする
老犬用のドッグフードは15分以上ふやかし、触るだけで簡単に崩れる程度まで柔らかくします。嗅覚や味覚が鈍くなっている場合は、温かい状態で与えると食欲を刺激できます。関節炎などの症状がある場合は、立ち姿勢での食事が負担になるので、食器の高さを調整するなど、食事環境を整えましょう。
病気がある犬用
病気の種類や症状によって、ドッグフードのふやかし方を調整する必要があります。消化器系の病気がある場合は、丁寧にふやかして消化の負担を軽減しましょう。腎臓病の犬には低タンパク・低リンのフードを選び、十分な水分を含ませます。
心臓病の犬には低ナトリウムのフードを使用し、糖尿病の犬には、低GIのフードを使用しましょう。いずれも適度な水の量でふやかします。アレルギーのある犬には、アレルゲンを含まないフードを選んでふやかしてください。歯周病の犬には、食べやすいようにしっかりとふやかして与えましょう。
病気がある犬のフードの選び方やふやかし方については、必ず獣医師に相談してください。投薬が必要な場合は、ふやかしたフードと薬を均一に混ぜれば、確実に投薬できます。
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ドッグフードをふやかす際の注意点

ドッグフードをふやかす際の注意点は以下のとおりです。
- 衛生面に気を付ける
- 熱湯を使わずにふやかす
- 犬の好みや状態に合わせて調整する
衛生面に気を付ける
ふやかしたドッグフードは雑菌が繁殖しやすくなります。細菌の増殖を防ぐため、清潔な容器を使用しましょう。ふやかす時間は30分以内とし、2時間以上放置しないでください。余ったフードは冷蔵保存し、24時間以内に使い切ります。食べ残しは廃棄し、給餌器は毎回の洗浄が重要です。
暑い季節は、細菌の繁殖が早まるため注意が必要です。食器は毎回熱湯消毒を行い、完全に乾燥させてから使用しましょう。異臭や変色が見られた場合は、決して与えないでください。
熱湯を使わずにふやかす

熱湯を使わずにドッグフードをふやかすポイントは、以下のとおりです。
- 30〜40℃のぬるま湯を使用する
- 水道水を電子レンジで加温する
- 常温の水を使用する
- 犬用の専用ふやかし液を使用する
- 獣医師に相談済みの野菜スープを使用する
50℃以上の熱湯は、タンパク質やビタミンといった重要な栄養素を破壊します。硬水のミネラルウォーターは、ミネラルの過剰摂取につながるため避けましょう。牛乳も乳糖不耐性による下痢を引き起こす可能性があります。安全性を第一に考え、愛犬の体調に合わせて選択してください。
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犬の好みや状態に合わせて調整する
ドッグフードのふやかし方は、個々の犬に合わせた調整が大切です。歯の状態や年齢、体調、好みなど、それぞれの特性に応じた方法を見つければ、快適な食事時間を提供できます。食べる速度が速い犬は、水分量を多めにしてかさを増やし、ゆっくり食べられるよう工夫しましょう。
食欲が低下している場合は、温めて香りを引き立てると食べやすくなります。消化の状態を見ながら、水分量や温度の微調整を行いましょう。食いつきが悪い場合は、硬さや温度を変えます。季節や室温によっても微調整が必要になります。
ドッグフードのふやかし方に関するよくある質問

ドッグフードのふやかし方について、よくある質問は以下のとおりです。
- ふやかしたドッグフードの保存期間は何日?
- ドッグフードに味付けしても大丈夫?
ふやかしたドッグフードの保存期間は何日?
ふやかしたドッグフードの保存期間は、保管方法によって異なります。室温での保存は2〜3時間以内、冷蔵保存の場合は24時間以内に使い切りましょう。水分を含んだドッグフードは雑菌が繁殖しやすく、栄養価も低下しやすいため、長期保存は避けてください。夏場は細菌の繁殖が早まるため、保存時間を短くします。
ふやかしたドッグフードは、1回分ずつ作るのが理想的です。作り置きは避け、新鮮な状態で与えるのが重要です。食べ残しがあった場合も保存せず、新しく作り直しましょう。冷蔵保存した場合は、与える前に人肌程度まで温めると食べやすくなります。冷たいまま与えると、おなかを壊す原因になるので注意してください。
ドッグフードに味付けしても大丈夫?
ドッグフードへの味付けは、基本的におすすめできません。ドッグフードには、犬に必要な栄養バランスがすでに整えられているため、追加の味付けは不要です。人間用の調味料には、犬にとって有害な成分が含まれている場合があります。特に塩分は、腎臓に大きな負担をかけるため危険です。
食欲が低下している場合でも、安易に味付けで食欲を引き出そうとするのは避けましょう。食欲不振の背景には、体調の変化や病気が隠れている可能性もあります。獣医師に相談し、体調不良の原因の特定が重要です。どうしても嗜好性を高めたい場合は、犬用のトッピングを使用するなど、安全な方法を選びましょう。
まとめ

ドッグフードをふやかすと、消化吸収の改善や水分補給、食欲不振の改善など、さまざまなメリットが得られます。子犬や老犬、病気がある犬など、状態に応じて適切なふやかし方の選択が大切です。ふやかす際は30〜40℃のぬるま湯を使用し、衛生面に気を付けながら新鮮な状態で与えましょう。
ドッグフードをふやかすのは手間と時間がかかり、犬の好みに合わない可能性もあります。噛む力の低下を防ぐため、状態に応じて硬さを調整するのも重要です。犬の健康と快適な食事のために、獣医師に相談しながら最適な方法を見つけましょう。