犬の健康のためにどのような食事を与えれば良いのか、悩んでいる方は多くいます。人間の食事を分けて与える場合、正しい知識がないと犬の健康に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
この記事では犬が安全に食べられる食材と、食事を与える際の注意点を解説しています。記事を読めば犬の食事に関する知識が身に付き、正しい食事管理ができます。犬に与えてはいけない食材も紹介しているので、参考にしてください。
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犬が食べていいものの基本

犬が食べていいものの基本として、犬の消化システムと犬に必要な栄養素の2点を解説します。
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犬の消化システム
犬の消化システムは、人間とは大きく異なります。犬の消化システムの特徴は、以下のとおりです。
- 消化管が短い
- 胃酸が強い
- 炭水化物の消化能力が低い
- 唾液に消化酵素がほとんど含まれていない
犬の消化システムは、肉類を中心とした食事に適しています。短い消化管と強い胃酸は、タンパク質と脂肪の消化に最適です。穀物や野菜を含む食事は消化に負担がかかります。
犬の腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)は、肉食に適した構造です。犬に食事を与える際は、消化システムに適した食べ物を与えるのが重要です。人間の食事を与えてはいけません。
犬に必要な栄養素
犬に必要な栄養素は、以下のとおりです。
- タンパク質
- 脂肪
- 炭水化物
- ビタミン
- ミネラル
- 水分
タンパク質は、筋肉や臓器の発達に役立ちます。犬のエネルギー源として重要な栄養素は、脂肪と炭水化物です。脂肪はエネルギー源としての役割だけでなく、皮膚や被毛の健康維持に効果があります。ビタミンやミネラルは、体の機能を正常に保つために必要です。
水分も重要で、常に新鮮な水を用意しておく必要があります。犬の食事は年齢や健康状態に合わせて、選ぶのが大切です。食事の過剰摂取には注意が必要です。適切な量を意識すれば、犬の健康的な生活につながります。
犬が食べていい野菜

犬が安全に食べられる野菜と、野菜を与える際の注意点を解説します。
犬が安全に食べられる野菜リスト
犬が安全に食べられる野菜は、以下のとおりです。
- にんじん
- ブロッコリー
- ほうれん草
- かぼちゃ
- さつまいも
- グリーンピース
- セロリ
- きゅうり
- ズッキーニ
- レタス
野菜にはビタミンと食物繊維が多く含まれています。上記の野菜を食事に取り入れれば、バランスの取れた栄養補給が可能です。野菜は適切な量を与え、犬の体調や好みに合わせて調整する必要があります。
野菜を与える際の注意点
犬に野菜を与える際の注意点は、以下のとおりです。
- 過剰摂取を避ける
- 加熱して与える
- 小さく切るか細かくすりつぶして与える
- 調味料や油を使わない
- 新鮮な野菜を選ぶ
- アレルギー反応に注意する
- 消化不良がないか観察する
- 種や芯は取り除く
野菜を与え過ぎると、消化不良や下痢になる可能性があります。急に多くの野菜を与えると、消化器に負担がかかるので、与える量は徐々に増やしていくのがおすすめです。生野菜ではなく、加熱した野菜を与えましょう。加熱した野菜は消化しやすいため、犬の負担が減ります。
野菜は小さく切るか、細かくすりつぶして与えてください。犬が食べやすく、消化もしやすいです。調味料や油は犬の体に悪影響を与えるため、使わないでください。鮮度の良い野菜を選ぶのも重要です。鮮度の落ちた野菜は栄養価が低下しており、適切に栄養を摂取できません。
アレルギー反応には注意が必要です。新しい野菜を与える際は、少量から始めて様子を見るのがおすすめです。消化不良で下痢や嘔吐の症状が出た場合は、すぐに獣医師へ相談してください。種や芯は消化不良の原因になるため、必ず取り除きましょう。
犬が食べていい果物

犬が安全に食べられる果物と、果物を与える際の注意点を解説します。
犬が安全に食べられる果物リスト
犬が安全に食べられる果物は、以下のとおりです。
- リンゴ
- バナナ
- ブルーベリー
- イチゴ
- スイカ
- メロン
- パイナップル
- マンゴー
- ナシ
- パパイヤ
果物にはビタミンCや食物繊維、抗酸化物質が豊富に含まれています。食物繊維は消化の補助に、ビタミンCは免疫システムの強化が可能です。抗酸化物質は、有害な物質から細胞を守る働きがあります。果物は主食としては不適切なので、おやつとして与えるのが一般的です。
果物を与える際の注意点
犬に果物を与える際の注意点は、以下のとおりです。
- 過剰摂取を避ける
- 種や芯を取り除く
- 小さく切って皮を剥いてから与える
- 新鮮な果物を与える
- 缶詰やシロップ漬けの果物は避ける
果物は多く与え過ぎずに、適量を守る必要があります。果物には糖分が多く含まれているので、与える頻度にも注意が必要です。アレルギー反応が出る可能性があるため、初めて食べる果物は少量から与えるのがおすすめです。
果物は小さく切ってから与えると、消化不良を防止できます。新鮮な果物を選び、よく洗ってから与えます。皮付きの果物は皮を剥いてから与えましょう。缶詰やシロップ漬けの果物は甘過ぎるため、与えないでください。酸味が強い果物は、刺激が強いので控えめにします。
犬が食べていい肉類

犬が安全に食べられる肉類と、肉類を与える際の注意点を解説します。
犬が安全に食べられる肉類リスト
犬が安全に食べられる肉類の種類と摂取できる栄養素は、以下のとおりです。
- 鶏肉
- 牛肉
- ラム肉
- 豚肉
- 鹿肉
- ウサギ肉
- アヒル肉
肉類にはタンパク質や鉄分が豊富に含まれています。肉類を与える際は、低脂肪の肉を選びましょう。適切な量の肉を与えれば、栄養バランスが良くなります。
肉を与える際の注意点
肉を与える際の注意点は、以下のとおりです。
- 過剰摂取を避ける
- 脂肪の多い部位は控えめにする
- 生肉ではなく加熱した肉を与える
- 塩分や調味料は使用しない
- 骨付き肉を与えない
肉の量は控えめにして、過剰摂取を避けてください。犬の体重や年齢に応じて、適切な量を与えましょう。脂肪が多い部位の食べ過ぎは、肥満や消化不良の原因です。低脂肪の部位を選んで与えるのがおすすめです。
生肉には有害な細菌が含まれている可能性があるため、加熱調理をしてから与える必要があります。骨付き肉を与えるのは避けましょう。骨が喉に詰まったり、消化器官を傷つけたりする危険性があります。塩分が高い調味料は使わないのが基本です。人間用の調味料は犬の体には合いません。
犬が食べていい魚介類

犬が安全に食べられる魚介類と、魚介類を与える際の注意点を解説します。
犬が安全に食べられる魚介類リスト
犬が安全に食べられる魚介類は、以下のとおりです。
- サーモン
- タラ
- サバ
- イワシ
- ティラピア
- ホワイトフィッシュ
- エビ(殻なし)
- イカ
- ホタテ
- カニ(殻なし)
魚介類にはオメガ3脂肪酸が多く含まれており、犬の皮膚や毛並みに良い影響を与えます。タンパク質やビタミン類も豊富に含まれており、健康な体づくりに役立ちます。カルシウムやミネラルを摂取できるのも、魚介類の特徴です。
魚介類を与える際の注意点
魚介類を与える際の注意点は、以下のとおりです。
- 骨を完全に取り除く
- 必ず加熱調理をする
- 塩分の取り過ぎに注意する
- 油の多い魚は適量に抑える
- 皮は取り除く
- 与える頻度は週1〜2回程度にする
魚介類を与える際は、骨を完全に取り除く必要があります。骨が喉に刺さったり、消化器系を傷つけたりする危険性があるためです。魚の皮は消化不良の原因になるため、取り除くのがおすすめです。
生魚には寄生虫がいる可能性があるため、必ず加熱調理をしてから与えましょう。塩分の摂り過ぎは犬の体に負担がかかるため、無塩か薄味で調理するのがおすすめです。香辛料や調味料も使わないでください。油の多い魚は消化不良や肥満の原因になるので、与え過ぎないように注意が必要です。
魚介類を与える頻度は週1〜2回程度に抑えてください。与える回数が多いと、栄養のバランスが崩れます。缶詰の魚を与える際は、添加物に注意が必要です。缶詰の場合、水煮を選ぶのがおすすめです。
犬が食べていい穀物

犬が安全に食べられる穀物と、穀物を与える際の注意点を解説します。
犬が安全に食べられる穀物リスト
犬が安全に食べられる穀物は、以下のとおりです。
- 玄米
- オートミール
- キノア
- そば
- 大麦
- アマランサス
- ミレット(きび)
- スペルト小麦
- ブルグア
- 玄米パスタ
穀物にはビタミンB群や食物繊維、タンパク質が多く含まれており、代謝促進や筋肉の維持に役立ちます。過剰摂取は消化器系に負担がかかるため、適量を与えるのが大切です。
穀物を与える際の注意点
犬に穀物を与える際の注意点は、以下のとおりです。
- 過剰摂取を避ける
- 消化しやすい形で与える
- アレルギー反応に注意する
- 栄養バランスを保つ
穀物を与える際は、適切な量と方法を守りましょう。過剰摂取は消化器に負担がかかります。茹でたり砕いたりすると、消化がしやすくなるのでおすすめです。新しい穀物を与える際は、アレルギー反応に注意が必要です。少量から始めて、犬の様子を観察してください。
グルテンに敏感な犬の場合は、グルテンフリーの食材を選ぶ必要があります。穀物だけでは栄養素が偏るので、バランスの良い食事を意識するのが大切です。肉類中心の食事にして、穀物は補助的に与えるのが理想です。
犬に与えてはいけない食材

犬に与えてはいけない食材と、誤って食べたときの対処法を解説します。犬の健康を守るためにも、覚えておきましょう。
犬にとって危険な食材リストと理由
犬に与えると危険な食材は、以下のとおりです。
- チョコレート
- ネギ類(タマネギ、ニンニク、ニラなど)
- アボカド
- ぶどう・レーズン
- マカダミアナッツ
- キシリトール
- アルコール
- カフェイン
- 生魚・生肉・生卵
- 骨
- 高塩分・高脂肪の食品
チョコレートに含まれるテオブロミンは、中毒症状を引き起こします。ネギ類(タマネギ、ニンニク、ニラなど)は赤血球を破壊するため、貧血を発症します。アボカドに含まれているペルシンは、嘔吐や下痢を引き起こす可能性が高いです。ぶどう・レーズンは腎不全の原因になる可能性があります。
マカダミアナッツは神経系に影響を与え、歩行困難や発熱の原因になるため注意が必要です。キシリトールはインスリン分泌を促進し、低血糖を引き起こします。アルコールは中枢神経系に悪影響を及ぼします。カフェインは心拍数を上げる効果があるため、不整脈や発作が起きる可能性が高いです。
生魚や生肉、生卵は、寄生虫感染や細菌感染のリスクがあります。骨は喉に詰まったり、消化器官を傷つけたりする可能性があります。高塩分の食事を与えると、脱水症状を引き起こすリスクが高いです。高脂肪の食材は、膵炎を発症するリスクがあります。
犬が食べてはいけない食材を誤って食べた際の対処法
犬が危険な食材を食べてしまった場合の対処法は、以下のとおりです。
- 獣医師に連絡する
- 食べた量と時間を記録する
- 水を多めに与える
- 症状の経過を観察する
食べた食材によって、注意すべき症状が異なります。獣医師に連絡をして、アドバイスを聞くのが重要です。チョコレートを食べてしまった場合は、カフェインやテオブロミンの解毒剤を投与する可能性があります。
タマネギやニンニクなら貧血の症状に、ぶどうやレーズンなら腎不全の症状に注意が必要です。状況によっては、緊急処置や入院治療が必要な場合もあります。犬の命を守るためには、迅速かつ適切な対応が大切です。
特別な注意が必要な犬の食事管理

アレルギーを持つ犬や高齢な犬には、特別な食事管理をする必要があります。
アレルギーを持つ犬
アレルギーを持つ犬の食事管理には、注意が必要です。獣医師に相談をして指導を受けながら、アレルギーの原因を特定する必要があります。アレルギーの特定ができたら、適切な食事管理を行います。低アレルゲン食や特別食を利用するのも効果的です。アレルギーを持つ犬のために、特別な調整が求められます。
初めて食べる食材は、慎重に与える必要があります。食事日記をつけて、犬の様子を観察しましょう。アレルギー症状が出ていないか、継続的にチェックをするのが大切です。自家製の食事を用意する際は、栄養バランスが偏らないように注意が必要です。食事の変更は、犬の様子を見ながら段階的に行います。
クロスリアクションには注意が必要です。クロスリアクションとは、アレルギーを持っている食材と似た性質を持つ食材でも、アレルギー反応が起きる現象です。クロスリアクションが起きやすい食材は、避けるのをおすすめします。食器や調理器具を清潔に保つのも大切です。
高齢な犬
高齢の犬には、消化しやすい食事を与える必要があります。年を重ねるにつれて、消化能力や栄養吸収能力が低下するからです。タンパク質を減らし、栄養価の高い食事を与えるのがおすすめです。食事は数回に分けて与えると、消化の負担を軽減できます。高齢犬は脱水しやすいので、こまめに水分補給をしてください。
食事をスープ状にして与えるのも効果的です。食物繊維を適度に含む食材を選べば、便秘を予防できます。オメガ3脂肪酸を含む食事は、関節の健康維持や炎症の軽減に役立ちます。食欲がない場合は、柔らかい食事や温かい食事を試してみてください。
» 犬の健康診断の重要性と検査内容を解説
まとめ

犬の食事は飼い主が責任を持って管理する必要があります。栄養バランスの取れた食事を与えれば、犬の健康維持につながります。人間と同じ食事を与える場合、犬の健康に悪影響のない食材を与えるようにしましょう。
本記事では犬が安全に食べられる食材と、食事を与える際の注意点を解説しました。与えてはいけない食材も紹介したので、犬の健康を守るための参考にしてください。